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シネマヴェーラ渋谷「成瀬になれなかった男 映像作家・千葉泰樹」2


シネマヴェーラ渋谷「成瀬になれなかった男 映像作家・千葉泰樹」へ。 『大番 完結篇』『香港の星』2本立て。

『大番 完結篇』は戦後になってからの株屋・ギューちゃんの活躍を描いております。 風雲篇でも書きましたが、とにかく加東大介が素晴らしい。 そして、その相棒役・仲代達矢とのバランスが良いんですよねぇ。 こういう「静と動」みたいな相棒って『兵隊やくざ』とか思い出します。ちょっと違うか(笑)

淡島千景も相変わらずギューちゃんに尽くし続けるワケですが、この淡島千景とギューちゃんの対比も面白いんですよねぇ。 山村聡演ずるパルプ会社社長に二人でお呼ばれされた時なんぞも、ギューちゃんは普段通り「がさつに」応対するのを横でハラハラしながら横目で見たり、手で制したり、目を伏せたり、汗を拭ったり、呆れたり。 師匠のおかみさんや母親やカミさんからこんなことをされたような気がします、ワタシ(笑) 何だか自分を観ているような感じで笑えました。 「帰ったら怒られるんだろうなぁ」なんて思いました。 それでもやっぱり健気で美しい淡島千景サマ。

新年の社員の宴会で付き合ってる女をみんな呼んじゃって大モメになるシーンも笑えました。いかにもギューちゃんっぽい。

秘書役の団令子がまた実に良いキャラクター。この頃はまだ細いんですよねぇ。 「へぇ~。なかなかイイヤツじゃないの」ってニヤニヤしながら観とりました。

戦後に境遇がガラリと変わった東野英治郎(チャップリンさん)と原節子もその辺りの演じ方がウマいですねぇ。 そして、原節子の老女中役・一の宮あつ子の佇まいも品が良くステキでした。

憎めない男・ギューちゃんとおまきさんはこの先一緒になるんでしょうね。そうなって欲しい。ギューちゃんにはおまきさんがやっぱりよく似合う。

『香港の星』は商社マン・宝田明と日本に留学している医学生・尤敏(ユー・ミン)との国際恋愛を描く作品。

宝田明はスッキリとした良い男ですねぇ。でも、チャラチャラしてなくて律儀でマジメな感じがピタリとハマる。嫌味が無いんですよねぇ。

尤敏は表情が実に魅力的です。 宝田明に魅かれていく。勉学が疎かになる。そこでスパッと断ち切る。この辺の演じわけが良いので分かりやすいのかなぁと。

尤敏とは親友だが、実は宝田明に自分も惚れているという役どころの団令子はいじらしい…。 尤敏と宝田明の為に色々動いたりして。可笑しくもちょっぴり悲しい。

行きつけのバアのマダム・草笛光子が良いキャラクターでした。 特に、酔って宝田明の家に上がり込み誘いかける所なんかは実に妖艶で。酔って甘える口調なんぞも真に迫る。 でも、宝田明は何もせず、1人で表に出てタクシーを拾い旅館に泊まるワケです。こういうトコも実にカッコイイ。ワタシなら…。ねぇ…。分かるでしょ(笑)

あと、チョイ役でしたが団令子の先生でデザイナー役・久慈あさみは美しい…。どこで何の役をやってもステキな女優さんです。

宝田明が義兄役・加東大介(ラーメン屋の主)を呼び、暖簾越しに加東大介が振り替えると何故か客席爆笑。あ、ワタシもね。これまたいかにも「人の良いラーメン屋のオヤジ」っぽい感じがよく出ておりました。 ここで宝田明と尤敏が味噌ラーメンを美味しそうに食べておりましたので、ワタシも食べたくなり帰りに渋谷の某店で味噌ラーメンを食べたのですが、これが「???」でして…。映画が良かっただけにこれだけが残念だ…。

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