新文芸坐「脚本家・橋本忍 執念の世界」『最後の切札』『いろはにほへと』

April 27, 2016

 

 

新文芸坐「脚本家・橋本忍 執念の世界」へ。
『最後の切札』『いろはにほへと』2本立て。

 

『最後の切札』
新興宗教を強請る男を巡るノワール・サスペンス。

主役の佐田啓二がとにかく色と欲にまみれたワルという役どころ。
宗教研究会なる社の人間として宗教団体を恐喝したり、
女衒的なことをやってたり、芸能ブローカー的な仕事をしてたり。
表向きは洋品店の主人なんですが。
その上で何人も愛人を囲っていたり。まあ、忙しいことこの上ない(笑)
温和でソフトな二枚目役からは想像が付きません。
が、う~ん。どうでしょうかねぇ。
ワタシはあんまりしっくり来ないというか、今までの役どころのイメージが強いからかなぁ。
意外性はありますが…。
ドロドロした荒っぽい言動がどうも。ねぇ…。
でも、見事に「ワル」になりきっており、その辺は「さすがだなぁ」とは思いました。
一見の価値有です。

回りの役者陣がまた良くてですねぇ。
佐田啓二の同僚の宮口精二。
宗教団体の加藤嘉・殿山泰司。
その団体と癒着している議員の柳永二郎。
その団体と敵対する宗教団体の三井弘次(のめりこんでいる感じがよく出ておりました)
女衒の下請け的な多々良純。
高利貸の上田吉二郎。

加藤嘉と佐田啓二の対決シーンは見えない火花が飛び散るような応酬で引き込まれました。
落ち着いた口調なんですがね。

そして前科者で穴掘り役の西村晃・小池朝雄が良いキャラクターでした。
小悪党的な感じもよく出てましたし、どこかユーモラスで。
この2人の役名がノッポ(小池朝雄)・チビ(西村晃)って。そのまんまじゃねぇか(笑)

暑さ。そしてドロドロした人間の熱さ。そんな感じが濃厚に伝わってきました。

ラストは皮肉なもので。


『いろはにほへと』
高額な配当金を謳い出資者を集めた投資経済会。
一躍、時代の寵児となった青年理事長役の佐田啓二と、
追い詰める叩き上げの刑事・伊藤雄之助の応酬が見もののストーリーです。

う~ん、伊藤雄之助がイイ。ホントにイイ。
叩き上げで実直で、そして武骨な捜査二課の刑事役がピタりとハマる。
セリフ回しも良かったなぁ。
所々で「いろはがるた」を状況に合わせて口走るのも面白く、

そしてこのキャラクターに合う。
誘惑にも負けず、ぶれない。伊藤雄之助自身みたいだなぁと。
藤間紫(とても艶っぽい)の誘惑に落ちなかったのが正に「正義の人」。
ワタシだったら、ねぇ(笑)。
「触らぬ神に祟りなし」、か。

この映画もワキの出演者が魅力的過ぎましてですね。
投資経済会の社長室に宮口精二・殿山泰司・三井弘次・織田政雄って並ぶシーンが
何度かあるんですが、これがもうね。ワタシの好きな役者さんばかりで涎が出ちゃいます(笑)
それが観られただけで大満足。

柳永二郎もあざとい政治家役がハマります。
『最後の切札』でも同じような役だったけど(笑)

伊藤雄之助の母親役の浦辺粂子も「いろはがるた」を読んだりだとか、
息子にぶつぶつ言ったりするところがいかにも自然でした。

そして、佐田啓二が成りあがっていく知的な悪を好演。
『最後の切札』よりもこっちの方がニンに合うんじゃないかなぁ。

ラストの三井弘次が愉快でした。しぶとい(笑)


どちらの作品も今の時代でもありそうなテーマ・設定だなぁと。
いつの時代も似たような事柄があるようですね。
松本清張の作品みたいでした。


やっぱり佐田啓二は「知的で優しい二枚目」という役どころがワタシは好きです。

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