新文芸坐「脚本家・橋本忍 執念の世界」『最後の切札』『いろはにほへと』


新文芸坐「脚本家・橋本忍 執念の世界」へ。 『最後の切札』『いろはにほへと』2本立て。

『最後の切札』 新興宗教を強請る男を巡るノワール・サスペンス。

主役の佐田啓二がとにかく色と欲にまみれたワルという役どころ。 宗教研究会なる社の人間として宗教団体を恐喝したり、 女衒的なことをやってたり、芸能ブローカー的な仕事をしてたり。 表向きは洋品店の主人なんですが。 その上で何人も愛人を囲っていたり。まあ、忙しいことこの上ない(笑) 温和でソフトな二枚目役からは想像が付きません。 が、う~ん。どうでしょうかねぇ。 ワタシはあんまりしっくり来ないというか、今までの役どころのイメージが強いからかなぁ。 意外性はありますが…。 ドロドロした荒っぽい言動がどうも。ねぇ…。 でも、見事に「ワル」になりきっており、その辺は「さすがだなぁ」とは思いました。 一見の価値有です。

回りの役者陣がまた良くてですねぇ。 佐田啓二の同僚の宮口精二。 宗教団体の加藤嘉・殿山泰司。 その団体と癒着している議員の柳永二郎。 その団体と敵対する宗教団体の三井弘次(のめりこんでいる感じがよく出ておりました) 女衒の下請け的な多々良純。 高利貸の上田吉二郎。

加藤嘉と佐田啓二の対決シーンは見えない火花が飛び散るような応酬で引き込まれました。 落ち着いた口調なんですがね。

そして前科者で穴掘り役の西村晃・小池朝雄が良いキャラクターでした。 小悪党的な感じもよく出てましたし、どこかユーモラスで。 この2人の役名がノッポ(小池朝雄)・チビ(西村晃)って。そのまんまじゃねぇか(笑)

暑さ。そしてドロドロした人間の熱さ。そんな感じが濃厚に伝わってきました。

ラストは皮肉なもので。

『いろはにほへと』 高額な配当金を謳い出資者を集めた投資経済会。 一躍、時代の寵児となった青年理事長役の佐田啓二と、 追い詰める叩き上げの刑事・伊藤雄之助の応酬が見もののストーリーです。

う~ん、伊藤雄之助がイイ。ホントにイイ。 叩き上げで実直で、そして武骨な捜査二課の刑事役がピタりとハマる。 セリフ回しも良かったなぁ。 所々で「いろはがるた」を状況に合わせて口走るのも面白く、

そしてこのキャラクターに合う。 誘惑にも負けず、ぶれない。伊藤雄之助自身みたいだなぁと。 藤間紫(とても艶っぽい)の誘惑に落ちなかったのが正に「正義の人」。 ワタシだったら、ねぇ(笑)。 「触らぬ神に祟りなし」、か。

この映画もワキの出演者が魅力的過ぎましてですね。 投資経済会の社長室に宮口精二・殿山泰司・三井弘次・織田政雄って並ぶシーンが 何度かあるんですが、これがもうね。ワタシの好きな役者さんばかりで涎が出ちゃいます(笑) それが観られただけで大満足。

柳永二郎もあざとい政治家役がハマります。 『最後の切札』でも同じような役だったけど(笑)

伊藤雄之助の母親役の浦辺粂子も「いろはがるた」を読んだりだとか、 息子にぶつぶつ言ったりするところがいかにも自然でした。

そして、佐田啓二が成りあがっていく知的な悪を好演。 『最後の切札』よりもこっちの方がニンに合うんじゃないかなぁ。

ラストの三井弘次が愉快でした。しぶとい(笑)

どちらの作品も今の時代でもありそうなテーマ・設定だなぁと。 いつの時代も似たような事柄があるようですね。 松本清張の作品みたいでした。

やっぱり佐田啓二は「知的で優しい二枚目」という役どころがワタシは好きです。

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