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シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」へ。

シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」へ。 『有りがたうさん』『母情』2本立て。

『有りがたうさん』 昭和11年の作品。

「有りがたうさん」と呼ばれるバス運転手のバスに乗り込んだ乗客達の人生模様を 目的地に到着するまでの車中という限られた空間と時間を描いたロードムービー。

「有りがたうさん」は若き日の上原謙。 主演デビュー作だそうです。 いやぁ、目元涼しく鼻筋高くイイ男ですねぇ。正に「二枚目」。 快活で人の良い運転手役にピッタリ。 あ、でもバスの運転手にしてはイイ男過ぎるかなぁ(笑) 田舎道をバスがガタゴト走っていくワケですが、

道を譲ってくれる人に「ありがとう」を連発。 これが耳に残ります。 でも、わざとらしくなく自然な感じで好感が持てますね。

乗客の中では桑野通子(恐らく水商売をしている風)がとても良かったです。 少々クールで毒気もあるけど優しい。こういう人いますよねぇ。 少々エバって図々しく色目も使う困った髭のオッサン(石山隆嗣かな?)との やり取りもなかなか愉快で。あしらうのがウマい。 ウイスキーのポケット瓶を車内で飲みだすシーンなんかハマってますし、 むしろカッコ良さまで感じました。 車内の男どもに勧め、おまけに上原謙にまで勧めちゃう(笑)

悲しい境遇の人たち。明るい娘たち。等々。悲喜交々。 ラスト・つまり翌日の車内を観て「あ~、良かったなぁ」なんて思いました。 役者さんが棒読みっぽかったり、割とぶつ切り的なセリフ回しなのが不思議でした。 録音やフィルムの関係なのかもしれませんね。 詳しくは分かりませんが。

昔のバスの車内って物凄く狭かったんだなぁ。 乗り心地も良くなかったんでしょうし。 でも、山道を歩くよりはマシと言った案配か。

田舎の山道をバスが走行する。 それをバスの目線(てぇのかな)や後ろから歩く人の目線や上から横から

様々なカメラワークで楽しめました。 全体的にのんびりとした風情と人情。 そして軽快な音楽がとても良いですね。

『母情』

人生をやり直そうとする母親が、 父親の違う3人の子ども預かってもらうため親類たち訪れる母子ロードムービー。

主役の母親役は清川虹子。

映画の写真やチラシの文面を読むと 「辛い境遇にも子どものために一生懸命な母親」なのかなぁと思いましたが、 親類を訪ねて玄関先で足を組んでタバコをスパスパ吸っちゃったりして

少々大束なんですね。 清川ママのキャラにも結構合ってますが(笑) まあ、子どもを預ける(実際は養子にあげるような感覚なのかしら)のも 「水商売を始めるのに子どもが邪魔だから」という理由だから

大束の方が合うんでしょうね。 最初は「再婚するから」という理由にしてごまかしてるんですが。 でも嫌味にならないのが人徳なのかなぁと。

子どもは末っ子の女の子。次男の男の子の2人が預けられます。 別れのシーンは当然悲しいところではあるのですが、

そんなにしんみりという感じではないし、 変に重くならないのはこの映画に合うんでしょうね。 特に、女の子が預けられて清川親子が家を出て行く。 それを後ろから子どもら(6人兄弟+預けられた末っ子)が駆け出してくる。 途中で1人の子が転ぶのも演出として面白いなぁと思いました。 で、子どもらが遠くから「さよなら~」と手を振る。 これが清水宏の作品でよくある画だなぁと。

旅館でのシーンは印象に残りました。 (一緒にバアをやる)山田五十鈴との自然な会話。 そして絵描きの黒川弥太郎との触れ合い。

画家と長男との微笑ましいやり取り。 隣の部屋に修学旅行の女学生が泊まってワーワーキャーキャー騒ぐ。

まくら投げをする。 この屈託ない明るさと隣人との対比。 襖越しに怒鳴りつけて黙る。そして直ぐ始まる。 こういう場面は『簪』でもありました(女学生じゃなかったけど)。 清水宏でお馴染みの演出なんでしょうね。 こういうシーンって何だか笑っちゃうんだよなぁ。好きです。

役者陣も達者な方ばかりでして。 飯田蝶子・浦辺粂子・望月優子。

そして徳川夢声と古川緑波の名演も大いに堪能。 チョイ役でしたが清川玉枝も愉快。

ああいうラストって初めて観ました。 あんまりキレイじゃない(?)けど、何だかステキな感じがする。 ネタばれしちゃうから詳しく書かないですが、ちょっと好きだなぁ(笑)

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