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シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」 『母のおもかげ』『桃の花咲く下で』

シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」へ。

『母のおもかげ』『桃の花咲く下で』2本立て。

『母のおもかげ』 ご案内でしょうが、一昨日観て大変に感銘を受けた作品の再見です。

同じ作品を短期間で再見したのは映画では初めてかも。 芝居だと去年観た『神明恵和合取組』・いわゆる『め組の喧嘩』がそうでしたが。

「また観てみたい」と思わせるに相応しい作品。

ストーリーも全て頭に入っておりますが、いやぁ泣きました。 実際、前回観た以上に泣いたかも。

2日後に同じ作品を観て同じように泣けるってそれだけ凄い作品なんでしょうね。 落語も何回観ても同じように笑える・人情噺は同じように泣けるてぇのと同じ感覚なのかも。ワタシの噺はどうかしら?(笑)

家の中での横移動する(結構速いけどうるさくない)カメラワークとか凄いなぁと改めて思う。

何より作品と役者さんの素晴らしさに感動。 それから音楽も良いんですよねぇ。これも感動をより一層高めているのではないかと。さすがは古関裕而。 ソフト化もされていないようですし、有名な映画というワケでもないでしょうが、それだけにこういう作品に巡り合えたのはこの上ない喜びです。

好きな映画が増えました。

『桃の花咲く下で』 父親の家庭に引き取られた実の子・明が足を怪我したため温泉での療養に付き添うことになった阿彌子。やがて怪我も治り別れの時がきて。というストーリー。

主演の阿彌子役はご存知ブギの女王・笠置シヅ子。 歌う紙芝居屋さんです。 いやぁ、とっても良かった。 歌を歌いながら紙芝居を読むワケですが、明るくて楽しくて。聞いてるこっちもウキウキしちゃいます。で、笑顔がとても良いんですよねぇ。

冒頭で子どもたちが後ろからゾロゾロ付いてくるんですが、これなんかは噺でよくある「あとから子どもが大勢付いて来ちゃった」てセリフを思い出します。うん、そうか。こういうイメージか。 まあ、紙芝居屋さんは子どもが付いて来なけりゃ商売になりませんが(笑)

愉快でいながら実子には勿論のこと、他の子どもたちに向ける眼差しが何とも優しい…。 先輩たちから多摩川の橋脚下に追いやられ、そこには当然子どもたちは居ないのですが、ただ一人浮浪児が居て…。というところなんかはとても温か味のある名シーンでした。 そして陰になり日向になり明を見守っていくのが押しつけがましくなく素晴らしい。

大勢出てくる子どもたちもまた良いんですよねぇ。 ワタシの大好きな土門拳の「昭和のこども」みたいです。

印象に残ったのは紙芝居屋から按摩に復職(?)した日守新一。 笠置シズ子に紙芝居のお客である子どもたちを取られ抗議というかボヤくところ。子どもにツッコまれちゃったりして。 その後、再び按摩になり温泉場で笠置シヅ子が歌っていた紙芝居の歌をマネしながら(当然ヘンテコな歌い方。笑)揉み療治をするところはとても愉快。

柳家金語楼先生は笠置シヅ子の下宿の主人役。 出番も少なめでしたが、何とも言えず可笑しく、そして面倒見の良さそうなオジさんを好演。 圧倒的な存在感。さすがです。

ママさん役の花井蘭子はやはり美しく、宿の女隠居の清川玉枝も相変わらず良い味を醸し出しておりました。

温泉地で怪我のリハビリ(?)で桟橋を渡るシーンなんかは『簪』と丸っきり同じ状況。そして(恐らく)同じ場所なんでしょうね。 温泉・宿屋・子ども・働く女・按摩・桟橋。清水宏の好きな設定なんだなぁと改めて思う。

笠置シヅ子の歌声を大いに堪能。

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