シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」
シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」へ。 『しいのみ学園』『団栗と椎の実』2本立て。
『しいのみ学園』 小児マヒの長男が学校でいじめられ登校拒否に。
そんな時、次男も同じ病にかかる。
悩んだ大学教授の父と母は小児マヒ児のために「しいのみ学園」を創立し。
というストーリー。
とにかく父親役で学園を創立し園長になる宇野重吉・その妻の花井蘭子。 そして宇野重吉の教え子で学園の教師になる香川京子。 女医の島崎雪子等子どもたちを陰になり日向になり見守り続ける眼差しが
とても優しいのが印象に残る。
この役者さんたちの人柄もあるのでしょうが、
それより何より清水宏の優しさでもあるんだろうなぁと思いました。
障害を持っている子どもたちという難しいテーマでしょうし、
今以上に毀誉褒貶もろもろあった時代(昭和30年公開』)ではないかと思いましたが、
こういう作品を撮って公開するのは一石を投じることになるんでしょうね。
河原崎建三(当時小学生かな。おもかげありまくりですぐ分かりました)演ずる長男が
学校でからかわれるシーンで、
野球部の子ども達が大勢でびっこのマネして歩くシーンがあったんですが、
これ観て「子どもって案外残酷なんだよなぁ」なんてね、ふと思いました。
学園では障害を持った子どもたちがお互いに助けあい励まし合って成長していく…。 そういう姿を観て
「ああ、落語の出来が悪かったくらいで落ち込んでちゃいけないなぁ。
障害も持ってても、明るく一生懸命生きている子どもたちに比べれば小せぇ小せぇ」
なんて言われたような気がしました。
この日の高座があんまり…。だったもんですから(笑)
香川京子は清楚で優しくその姿がとても眩しい。 こういう役どころはホントに合いますよねぇ。
『団栗と椎の実』 都会から田舎に貰われてきた少年が成長していく様子を
ロングショットと移動撮影によって描いた短編子供映画。 昭和16年の作品。放映時間は29分。
ストーリー的にはビックリするような内容でも無いんですが、
日常のスケッチ的な感じでもあり、短い時間で肩も凝らずに楽しめました。
子どもたちも「いかにも演技です」って感じじゃなくて自然なんですよねぇ。
内気な子どもを強くしようとムリヤリ木登りをさせて、
お父さんが途中で帰っちゃって木の上で泣きじゃくるシーンがありました。 これも今は一歩間違えれば虐待とか勘違いされるのかもしれませんが、
こうやって逞しくなっていくんだなぁ、子どもって。
これがきっかけになってガラっと変わるワケです。 で、ガキ大将みたいな子と喧嘩するシーンがあり、ここでは本気で喧嘩してましてねぇ。
でも、なんだか微笑ましい。 変におナマじゃないんですね、今の映像と違って。 「いいぞ、いいぞ」なんてニンマリして観ちゃいました。 躍動感あるなぁ。
その後ガキ大将になってみんなを率いて。 動きも言葉使いもまるで変わっちゃうんだなぁ。 偉くなったモンだ(笑)
走ったり、遊んだり、木登りをしたり。 子どもたちがキラキラしててとても良い作品でした。