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『世にも面白い男の一生 桂春団治』


ラピュタ阿佐ヶ谷「芸に生きる -映画を彩る芸能・芸術-」へ。 『世にも面白い男の一生 桂春団治』

噺家としては観ておきたい映画の一つです。今年三代目師匠も亡くなられましたから是非とも観たいと思っておりました。(初代と三代目は芸風等が全く違いますが) いやぁ、森繁さんの春団治師匠が絶品! 途中で仲居さん等のお尻を触るシーンが何回か出てくるんですが、とっても自然で嫌味じゃないんですよねぇ。エロさが全く無い。(女性には申し訳ありませんが…)。そこいくてぇと、下座さんのお尻を触る圓弥師匠はちょっぴりエロかった(笑) 喋り方や表情や動き等になんとも言えない愛嬌があります。 その春団治を取り巻く3人の女性。淡島千景・八千草薫・高峰三枝子も魅力的ですが、特に淡島千景が良かった。 春団治にいきなりキスされて艶っぽい目をしたあとに「あんたな…、あての心、知ってはったん?」と恥かしそうに俯く所なんかね、堪らん…。こっちがキュンときちゃう(笑) そして人力の俥夫・田村楽太が良い味を醸し出しておりました。セリフ回しも佇まいも、いかにも「昔気質の俥夫」という感じが出ておりましたし、また良い顔なんですよねぇ。味のある。 昔の道頓堀の賑わい(セットかな?)なんぞも観られてウキウキしました。

終映後急いで神保町シアター「生誕110年 女優 杉村春子」へ。 『大曾根家の朝』、『誘惑』鑑賞。

『大曾根家の朝』 昭和21年公開で戦後最初のキネ旬ベストテン1位になった作品だそうです。 時代もあるんでしょうが、正に「反戦映画」って感じです。特に後半は登場人物のセリフを借りて徹底的に軍部を批判してますから。当時の人はここで喝采を送ったんでしょうね。 そのセリフを言う杉村春子と言われる小沢栄太郎が素晴らしい。 小沢栄太郎はこういう居丈高な人物を演らせたら右に出る人間が居ないような安定感(笑)。やっぱりこういう芝居が出来るのは名優の名優たる所以ですね。 杉村春子もシンの強い昔の母親役はピタッとハマる。セリフが真に迫って説得力があります。 ラストも明るく希望に満ちた終わり方なんですね。安直と言えば安直かもしれませんが(笑) 東野英治郎も良い味を醸し出しておりました。

『誘惑』 これは良かった。 杉村春子演ずる妻が肺病で長期療養中に、その夫で代議士役・佐分利信宅に住み込み家庭教師を勤める苦学生(恩師の娘)役・原節子との年の差を超えて道ならぬ恋に落ちてゆくというストーリー。いわゆる三角関係。 昭和23年公開だそうですが、当時としては結構衝撃的だったんじゃないかしら。そうでもないのかな。 途中から色々思わせぶりなシーンが出てくるワケですね。 佐分利信が過労で倒れて(病状としては大したことは無かった)、原節子が駆けつけてきて、箱根の宿で一夜を共にする(結局2人とも帰京)シーンで浴衣姿の原節子が横座りをして鏡を見ながら髪を梳いてる時に足首から下のアップが唐突に写ったり(恐らく佐分利信目線)、2人がダンスを踊るシーンで足が何度も写ったり。等々。ウマく考えてるんですねぇ。 で、この2人が帰宅し、書斎で佐分利信が愛の告白をして原節子が出て行こうと扉を開けると入院中の杉村春子が立っている(「うわッ」と心の中で言ってましたよ、ワタシ。笑)シーンも衝撃的でした。 杉村春子は入院中は健気な妻って感じなんですが、ここでは本領発揮(?)という気性の激しさで2人と対峙する。引き込まれました。 佐分利信は落ち着いた役どころで風貌やセリフが良いですね。が、ここではオロオロするワケですが、落ち着いたオロオロ(?)なんですね。ぶれない(笑) 最終的に原節子に後を託して杉村春子が逝きます。ラストで、原節子が雪の中引き返してきて窓をトントンと叩く。佐分利信が気が付き窓を開ける。原節子の笑顔。この笑顔はホントにステキだった…。両手を伸ばしてその手を佐分利信が掴んで引き上げて「終」。このシーンもキュンときました。 とにかく、原節子は嫌らしさが無いのが良いですよねぇ。実に魅力的でした。 殿山泰司はもうこの頃から殿山泰司でした(笑)。もっと観たかったなぁ。

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