シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」 『サヨンの鐘』『母の旅路』


シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」へ。 『サヨンの鐘』『母の旅路』2本立て。

『サヨンの鐘』 舞台は日本占領下の台湾。山岳民族の美しい娘・サヨンは恋人が日本留学から帰ってくるのを心待ちにしていたが…。というストーリー。

戦況も激しく厳しくなりつつある昭和18年の作品。 実話を基にしているようです。 時局的にプロパガンダ的作品になるのは当然なんですが、明るく大らかなシーンも多々ありそこまで嫌悪感も感じないかなぁと。 でも、これは清水宏の精一杯の抵抗なのかもしれませんね。

サヨンは李香蘭。そして音楽は古賀政男ですから自然と楽しげな感じにはなるワケで。 映画と音楽は密接な関係なんだと改めて思いました。

冒頭数分は山岳民族の日常・普段の生活や仕事を古賀政男の音楽にのせながら5分以上かなぁ。ずーっと流すんですよねぇ。 セリフもありませんし、画像だけなんですが。 これもまた良かった。 「この民族はこういう暮らしなんですよ」とよく分かりましたから。 これに合わせる音楽もまた素晴らしい。 多分、このシーンに出てきたのは現地の方なんでしょう。 尚更良いワケだ。

サヨンが少々ガキ大将チックというのかなぁ。かなりお転婆なんですが、これがまたよく李香蘭に合うんですよねぇ。 キャラ的には李香蘭には全く合わなそうなんですが。意外。 子どもたちを引き連れていくシーンも良かった。 子豚が居なくなって「みんな。子豚が居なくなったから捜して」って言うシーンとか素っぽかったし、ちょっと困ったなァという感じもよく出てて可愛らしかったなぁ。

途中で明るかったトーンからどんどん湿っぽくなって…。 で、ラストも悲しい。と、いうか結構唐突?

それはそれとして「キュートな李香蘭を楽しめる映画」 これに尽きるかもしれません。あ、後半はちょっと違うけど。 エキゾチックなマスクと歌声も堪能。

『母の旅路』 サーカス団のスター・京子と座長の夫・晋吾、娘の進学の為にドサまわりを辞めて東京に戻るが…。というストーリー。

主役の京子役は三益愛子。得意の母もの。 いやぁ、やっぱりこの手の役は良い。とっても良い。 庶民(と、いうよりサーカスだから昔の芸人みたいなモンで)からいきなり上流階級の妻にガラっと変わるワケですが、そんなに急には変われないワケで。 その辺のガサツさを出すのが半端じゃなくウマいんですよねぇ。 言葉使い(アタイとか自分のこと言ったり)やタバコをスパスパ人前で吸ったり、着物も粋筋(?)みたいな着方だったり。娘の同級生のお上品な母親に突っかかってたり。面白くもどこか悲しい。 結局こういう「ガサツさ」が原因で家族に亀裂が走るワケですが。 「お里が知れますよ」ってのは正にこれだな。 今、「お里が知れますよ」って言いたい女の子随分居ますよねぇ。あ、ワタシも言われちゃうかなぁ(笑)

娘役の仁木多鶴子が三益愛子に匹敵するくらいに良かったです。 セーラー服がとても良く似合って眩しい…。 母親のせいで恥をかいたりします。 思春期の時ってこういうの複雑だろうなぁなんてね、思いました。特に女の子は。 でも、母親のことは嫌いじゃないワケですよね。それだけに余計複雑なのかも。 で、何かあった時のリアクションが想像してたのとちょっと違ってて「へぇ~」なんて思うところがいくつかありました。 「あ、このまま母親にキツイトーンで抗議しそうだなぁ」って流れになってても肩透かし的な感じだったり。 そういう演出の妙てぇのも面白いですね。 この女優さんは全く知りませんでしたが、こういういい役者さんを知ることが出来るのも昔の邦画を観る楽しみの1つです。 若尾文子にちょっと似てますね。

父親役の佐野周二は相変わらず温か味に溢れてますし、亡夫が佐野周二と共同経営者だった藤間紫は上品な色気と優しさでこれまた良い。

後半の空中ブランコのシーンはとても引き込まれました。

三益愛子の「サーカスで生まれて、サーカスで育って、サーカスで死ぬんだ」というセリフ。 仁木多鶴子の「テントで生まれてブランコで育った」というセリフが妙に印象に残る。 サーカスに対する誇りとプライド。芸に対する愛情がよく伝わりますね。

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