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シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」 『何故彼女達はそうなったか』 『風の中の子供』


シネマヴェーラ渋谷「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」へ。 『何故彼女達はそうなったか』『風の中の子供』2本立て。

『何故彼女達はそうなったか』 更生施設に入れられた非行少女たち。愛情を注ぐ女教師の努力も空しく、出所した彼女達への世間の偏見と無理解は激しく…。と、いったストーリー。

女教師役は香川京子。 こういうひたむきで純粋な教師の役ってピッタリ。 存在自体が「優しさ」に満ち溢れております。 「優しさの国から優しさを広めに来た」って言葉がふと思い付く。 顔も声もセリフ回しも「温かい」。

池内淳子が薄幸な少女役。 いやぁ。若いなぁ。凛とした美しさはまだ無くあどけない感じが尚更少女っぽい印象。(当時23歳くらい) そんなに悪いことするように見えないのがミソなのかも。 悲しい境遇。 せっかく施設を出ることが出来たのに、家に居たいけど居ることが許されない。 借金・幼い弟や妹が沢山居て養わなければいけない・世間体も悪い。そんな理由で売られちゃうのね…。 「お面を取らないで」ってセリフが耳に残りました。

施設のウラ番(笑)役が三ツ矢歌子。 最初分からなかった。で、こういう役も結構合うんですよねぇ。 擦れてる感じもよく出てました。 あ、そうそう。三ツ矢歌子ってもう亡くなってるのかぁ。 まだ存命の印象があったけど。結構ビックリしました。

女郎屋の女将役・浪花千栄子も絶品。 「いかにも」って感じですねぇ(笑)

香川京子と池内淳子は2歳しか違わないのか…。 香川京子と三ツ矢歌子とは5歳違い。 そんなに離れてないのに教師と生徒役を演じてるのが結構ビックリ。その割には池内淳子は少女っぽい。

『風の中の子供』 父が無実の罪で警察に逮捕され、善太と三平の兄弟は離れて暮らすことに…。と、いったストーリー。 昭和12年の作品だそうです。

清水宏の初期の名作という言葉が相応しい作品でした。 子どもの描写はホントに素晴らしい…。

次男の三平役・爆弾小僧が生き生きした演技で微笑ましく、そしてちょっぴり悲しい。 腕白なんだけど、やっぱり子どもだから親も恋しい。 1人で留守番してると恐がる。そんな所もとてもよく出ておりました。 兄弟でオリンピックごっこ・水泳競技ごっこをしてるシーンも愉快。 選手の呼び出しの真似をしてて「前畑さん」とか実名を何人か上げたあとに「第5コース・ドイツ人」「第6コース・アメリカ人」とか言うのは笑っちゃった。

川遊び・木登り・チャンバラ・相撲。そして喧嘩。 どれもこれも感動する程の躍動感。自然な演技。

子ども達が大勢でウワ~ッと駆け出して行く。 それをカメラが追う。 ターザンの掛け声のシーンも良かった。

父が釈放されて帰宅する。 兄弟で庭から「お父さん」と言ってすぐ隠れる。微笑ましい。 植木棚の使い方も効果的。 この辺の描写とカメラワークも素晴らしく印象に残りました。

母親役の吉岡満子も良かった。 爆弾小僧が親戚の家に行ってしまうシーンで、子どもを見送る背中が何とも寂しげで…。背中の演技。

ラストも爽やか…。

子どもたちがワタシの胸にも飛び込んでくる。そういう映画ではないかと。 そんな素晴らしい作品に出会えるのはこの上ない喜びです

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